フリーゲーム感想メモ ノベルゲーム「彼女と彼女と私の七日 -Seven days with the Ghost-」

  • 彼女と彼女と私の七日 -Seven days with the Ghost-/Lilies Project ※注:18禁

彼女と彼女と私の七日 -Seven days with the Ghost-

オカルトというか独自世界観の現代ファンタジーであり、家族と自立の物語でもあり、友情と恋のお話でもあり。といっても詰め込み過ぎという印象はなく、すべての要素がパズルのピースのようにカッチリと填まっていました。フルボイスで、ボイスは9割くらい聞いてプレイ時間は9時間ほど。タイトル通り7日間(+α)のお話で、日付ごとに章立てされているような形で区切りよく話が進むため、中だるみすることもなく。あら、気付いたらそんなに読んでいたのねん、といった感じでした。

というわけで以下、ちょっとした感想など。核心的なネタバレは避け……たつもりでしたが、気付いたら割とナチュラルに終盤の展開とか書いてたのでご注意ください。というかだいたい毎度のことですが、本編読む前に読んで意味が通じるようには書いてません。

ヒトの上位存在と相対する現代ファンタジー

個人的にぐっと来たのは、幽霊を自称する「青戸雅」の存在に迫る謎。主人公でオカルト研究部の折原絢子が、幽霊の調査をしていて発見した雅の存在を、他の人にも信じさせるため奔走する……というのが前半の主な流れですが、いくつかの状況証拠により、幽霊では説明がつかない、より上位の存在であることが示唆されます。

バックグラウンドにあるのは、かつてあった、人間と魔族との間にあった戦争。オカルトとは別に魔法もある世界観ですが、この魔法の成り立ちと魔族は大きく関わっており、現代ファンタジーとして独自の歴史が存在するのが興味深かったです。

そして、終盤で明かされる雅という存在の真実。これは切ない。ヒトを超越してしまった存在が、それゆえに文字通り次元が違ってしまい、人と関わることが許されなくなる……というのは王道ですが、彼女の場合は世界のルールによって強制的に、とかではなく自らの信念として関わりを絶つことを選ぶというのが。

しかしまた、再会のヒントも残されていて、絢子そこを目指していくことを決意する某エンドは情動の面でも、未知への探究心という面でも絢子の成長が感じられてぐっと来るものがありました。ここまで語られた親友との絆、母親との確執の解消、魔族との邂逅、すべてが噛み合って「その後」に繋がってくのが本当に綺麗な流れだなあとか。

恋愛ものとして、コメディとして、親子の物語として

恋愛ものとしては、友情が恋愛に変わっていく過程をニヤニヤしながら微笑ましく眺める感じで堪能いたしました。主人公の絢子がモノローグも含めとにかく賑やかな子で、ボケ突っ込みだらけのハイテンションでテンポのよい会話が楽しく。声優さんの演技も全体的に良かったですが、とくに絢子は巧いし可愛いし突っ込みのキレもいいしで最高でした。ちょっと鼻にかかった声質が個人的にどストライクなので補正もかかっているかなとは思いますが(笑)。

いいなと思ったのは、絢子が親友の網城杏奈に恋愛対象として惹かれつつある自分を自覚しつつも、「女の子同士だから」と心に蓋をする理由。個人的には恋愛についてはお互い同意ならどんな関係でもいいじゃない、とか思っちゃう人なので、常識とか持ち出されてタブー視されてもピンと来ないのですが、絢子については幼少時のトラウマから、「世間一般的な観点において普通であること」から外れることへの強迫観念というバックボーンが出来ていて、納得の上で感情移入できました。

母子の会話。絢子かわいい。あと腹決めた絢子かっこいい。
母子の会話。絢子かわいい。あと腹決めた絢子かっこいい。

このトラウマの解消が母子の対話によって行われ、それによって恋愛方面でも、雅にまつわる謎関係でも一歩踏み出すことに繋がるという流れがまた綺麗で。本当に色々と噛み合ってるなあという感じです。

そんなわけで、キャラクターとしても、あと絵的にも絢子が一番可愛かったのですが、視点人物のためゲーム中に立ち絵はなし。話の展開上、中盤まではイベント絵もほとんどなしでぐぬぬ……でした。終盤で一気に増えますが。好きなイベント絵は最初のシーン(怪訝げな表情がかわいい、あとナイスふともも!)と、お母さんとの電話のシーン(細かい表情の動きが素敵)。某ED絵の仁王立ちも威風堂々としていて格好いいのです。

演出と音楽について

決め台詞っぽいSEとドヤァ的なエフェクト。言ってることはサイテー(笑)
決め台詞っぽいSEとドヤァ的なエフェクト。言ってることはサイテー(笑)

ちょこまかと動く立ち絵。紅茶から湯気が立ったり後光(?)が差したりと時にさり気なく、時に派手なエフェクト。小気味よいSE。イベント絵のぐるっと回り込むような拡大スクロールなど、演出が光る作品。ただ豪華なだけでなく、それでいて演出に待たされることがないのも素敵です。たとえば細かい点ですが、全画面エフェクトやスクロールなどの際も、そこでページ送りが止まるのではなく並行して進みます。動作も軽快に感じましたが、これはPCのスペックにもよるかもしれません。

音楽はピアノ曲を中心にいくつか好きな曲がありますが、一番は「彼女と彼女と私のこれから」かなあ。ED後にタイトルが変わるという演出と合わせて印象深いです。この感想日記書くためにゲームを起動したら、そのまま聞き惚れて手が止まってしまいました。あとは「彼女の想いは」「浮世噺」が特に好きかな。後者は幻想系ノベルゲー終盤の真相吐露シーンっぽい(というかまさにそういうシーンの曲ですが)雰囲気に、勝手に90年代っぽい懐かしさを感じてみたりとか。

本編はフリーですがサントラが出ているようですので、週末あたりに買いに行く予定です。

そして……エロゲとして

公称ジャンルは「(前略)18禁ガチ百合ノベル」。というわけでそっち方面としての感想ですが……。シナリオライターさんが後書きで自認されているように、本作のプルェイ内容はエロゲとして大変偏っています。が、その偏り方が恐ろしいまでにわたくしの嗜好と完全一致していて、何というか本当に有り難うございました……という感じで(苦笑)。「何を重視するか」だけでなく、「何をオミットするか」についてまで自分の趣味と完全一致しているものだからもう笑うしかない。

ファティエットさんマジやばい。色々な意味で死ぬ。
存在自体がエロすぎてやばいファティエットさん。まあ淫魔だししょうがないよね!

さておき。シーンとしては人外ならではの攻め方をする雅さんがファンタジー的にもエロス的にも凄かったですが(そこで物質透過使うのは反則だろ!)、本気でやばかったのはフェティエットさん。銀髪ゴスロリ、人間を下に見ていた淫魔の姫君が逆に手込めにされてどうたらこうたら、おまけに○○なり。ちょっとこれはシャレにならんです。やばい。マジでやばい(言語野破壊され気味)。

まとまらないけどマジやばいのでおわり。

Pocket

2件のコメント

  1. 百合好きには割とオイシいフリゲーだがHシーンはちょっと物足りないかな。もっと絡み方にバリエーションが欲しかった。
     主人公の二人(絢子と杏奈)が淫魔の姫ちゃんに抱かれて一方的に思いっきりイかされるとこが見たかった。個人的な意見だが、二人がファティエットのヨメにされちゃうのとかシナリオ追加してほしーなーと思う。

  2. 絡み方が偏っているのは作者さんのこだわりのようですね。私はそのこだわりが自分のこだわりと一致していたのでどストライクでしたが、人によっては物足りなさを感じるだろうというのもわかります。
    ファティエットは個人的に今の立ち位置がオイシイと思いますが、そういうifもそれはそれで面白そうですねえ(笑)。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です