Pocket PCには、Windows用のOutlookが付属してきます。これまではWindows CEマシンのPIMのデータをPCとリンクさせるには、Outlookなどが別に必要だったわけですが、これで、わざわざ別のソフトを買わなくてもすむようになったわけです。
……が、そこで敢えて、Outlookを使わずに、PCとデータを共有できるPIM環境を構築してみます。あまのじゃくですねえ。いや、Outlookは97の頃から、PDAとデータをシンクロさせるために(当時はSHARPのPCwiz 900だったかな……あれもいいマシンでした)使ってたのですが、どうも多機能すぎてしっくりこないんですよねえ。というわけで、CASSOPEIA E-700以降、思い切ってOutlookと決別してみました。
予定と仕事は、有限会社ディクレのシェアウェア、「SelfManager for Windows CE」を使って管理します。母艦側はもちろんWindows版の「SelfManager」です。
機能はいたってシンプル。もともとWindows版も、数あるスケジューラの中ではシンプルな方なのですが、Windows CE版ではさらに多くの機能が削られていたり、未実装だったりします。現状では標準の「予定表」で言うところの「月間カレンダー」画面しかありません。ただ、この画面で予定の内容まで見れるのは、「予定表」にないメリットだと思います。
とりあえずアラームとToDoリストは欲しいけど、あとはまあ僕としては必要十分かな……。
母艦とのデータ共用方法ですが、母艦側でスケジュールのデータを「同期フォルダ」に保存するようにし(一度「名前を付けて保存」すれば、次回の起動時からは自動的にそれが読み込まれます)、Pocket PC側でそのファイルを開くだけです(My Documentsフォルダにあるはずなので、始めから表示されていると思います)。データ形式はまったく同じだから、これで十分なのです。
ソフトそのものの機能とは直接関係ありませんが、サポートがしっかりしているのも魅力です。Web上に専用のフォーラムがあるのですが、バグ報告と要望(Windows版の方についてですが)をしたら、8時間後にバージョンアップしてしまいました(笑)。
テキストのメモは、Pocket WZ Editor 2.0のメモ機能、「PWZ MEMO」を使います。もちろん母艦側は「WZ EDITOR 4.0」です。データ共有の要領はSelfManagerと変わりません。ただ、同期フォルダに置いたメモファイルを、標準のメモファイルとするにはちょっと設定が必要です。WZおよびPWZをインストールしたフォルダに「wzmemo.cfg」というメモの設定ファイルがあるので、たとえば同期フォルダの名前が「C:¥My Documents¥Pocket My Documents」だとしたら、それぞれの設定ファイルの末尾に
WZ | file: "C:¥My Documents¥Pocket My Documents¥wzmemo.mem" |
---|---|
PWZ | file: "¥My Documents¥wzmemo.mem" |
といった感じで標準のメモファイルを指定するオプションを加えると、両方から同じファイルを参照できるようになります。
ただ、PWZ MEMOはテキストベースのため、ちょっとフリーハンドでメモ書き、という用途には使えません。こういったメモにはBugMe!を使っています。標準のメモ機能と違って、手書きに特化しており、またスクロールするのではなくどんどんページを追加していく形式のため、手軽に使えます。
WZ MAILを使ったり、nPOPを導入したりと、Pocket PC購入時より1年半ほど試行錯誤してきましたが、最終的にはわざわざPocket PCでメールを読み書きするというシチュエーションは(僕自身には)ないという結論に達してしまいました。出先でメールを確認したい場合、少なくとも座るところさえあればノートPCでメールチェックができますし、それ以上に緊急の用件なら電話します(笑)。
……他人の参考には全くならない記事だなあ(苦笑)。
そりゃねえだろう、というツッコミが聞こえてきますが(笑)。でもでも実際、普段持ち歩いてまで必要なアドレス情報って、電話番号とメールアドレスくらいじゃないでしょうか? 電話番号なら携帯電話に入れておけば、そのまま電話できますし。
とはいえ、その携帯電話の電話帳のもととなるデータは、やはりPCで作成・管理するのがスマートだと思います。僕は母艦でケータイ・リンクIVを使っています。
お仕着せの環境から抜け出して、自分だけのPIM環境を構築する……。なかなか楽しいことではありますが、「自由の代償」ももちろんあります。世の中そんなに甘くないよなぁ(笑)。
SelfManagerやPWZ MEMOを使ってデータを同期する場合、基本的にファイルをそのまま上書きし合うことになります。標準のPIMを使っていれば、両方で同時にデータを更新したりしても、整合性を取ってマージしてくれますが、ファイル単位ではそうはいきません。もし両方で編集してしまったら、どちらかの変更を捨てるか、ファイルを自分でテキストエディタなどで開いて切り貼りするしかないのです。
そのため、細めに母艦と接続して、双方で常にデータ(ファイル)を最新の物に保つ、接続時は、ソフト終了時の自動保存などを避けるため、両方のソフトを同時に起動しない、などの配慮が必要になってきます。
Pocket PCには、Outookの「Outlook Today」に相当する「Today」画面があります。これは、近い将来の予定や期限が近い仕事、未読のメールなどを概観できる画面です。
……が、標準PIMを捨てた以上、標準でここに表示されるのは「オーナー情報」のみ。現在ではToday画面を利用してマシンのステータスを表示するツールなどがたくさん出ていますので、全く無駄になってしまうことはありませんが、なかなか画面全体をフル活用というわけにはいかず、少し寂しいです。
SelfManager for Windows CEのサポート会議室でToday対応をお願いしてみたところ、作者さんから前向きなお返事を頂けましたが、さてどうなることやら……。
実のところ、僕が使いにくいと感じているのは「母艦側の」Outlookであり、Pocket PCのPIM機能にはそれほど不満を感じていません。さらにオンラインソフトとして、使いやすいPIMソフトがいくつも発表されています。しかし、これらのほとんどは標準のPIMデータを利用するものであり、Outlookを捨てた時点でこういった魅力的なPIMソフトを使う機会も失うわけです。
いいところも悪いところもひっくるめて、僕はこの環境が気に入っています。なんてったって、自分で構築したものだから。CASSIOPEIA E-700購入時からもう1年半以上この環境を利用していますが、Outlookに戻りたいとは思いませんね(笑)。
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