2012年にハマったフリゲRPGまとめ(中編)「片道勇者」「木精リトの魔王討伐記」

前回の続き。多少のネタバレが含まれていますのでご注意ください。

片道勇者(8月)

おそるべきスルメゲー。ちょっとやってみようかな?と始めてみて、気付いたら40時間経ってました。旅した世界は45個。

なお本作は変則的なローグライクですが、自分はローグライクをきっちりやり込んだ経験がないので、今回まとめた6本のうちこれだけは、窓の杜の記事は外部のライターさんにお願いしています。執筆いただいた記事で「ワールドワイドに通用しそう」なんて評価されてましたが、実際海外展開が決まってびっくりしました。

滅び行く世界で、共に戦う仲間との間に芽生える、刹那の絆。みたいな!
滅び行く世界で、共に戦う仲間との間に芽生える、刹那の絆。みたいな!

さておき。2012年の注目作ですし、ローグライクRPGとしての面白さの面では今更付け加えて語ることはないのですが……個人的にぐっと来た、ここまでやり込んだモチベーションとなったのは、ストーリーと世界観で。

最初に与えられる目標は、魔王を倒すという単純明快なもの。今回はゲーム性重視でストーリー要素は薄めかなー、とか思うじゃん? プレイを進めて「厳しい旅」にチャレンジできるようになるじゃん? 「○○○のクスリ」ゲットするじゃん? これ○○に使うとどうなるんだろって思うじゃん? やってみるじゃん?

……世界が「反転」した。繰り返される戦い、すべてに意味があった。魂が震えた。もう引き返せないと思った。いや実際、「あの会話シーン」に初めて到達したときは、あっけにとられるやら、興奮するやらで変な汗が出ました(笑)。

まあそんなわけで、シルフェイド世界を造り上げたSmokingWOLFさんが「そこ」を疎かにするはずがないのであった。甘く見ててマジすんません! それにしても世界観的にも、その上で足掻き続ける人々の業的にも、どストライク過ぎてやばい。ギャグとシリアスのバランスが絶妙なシナリオも健在。各キャラクターと共にエンディングを迎えた場合の個別エピローグは、暖かみがありつつも単純に「めでたしめでたし」ではない、独特の苦みと切なさを感じさせるもの。そして次の冒険へ旅立つ主人公がまた渋い……。

転生を繰り返しながらレア武器をとことん強化していくのも楽し
転生を繰り返しながらレア武器をとことん強化していくのも楽し

プレイスタイルとしては、次元倉庫とか使いまくってどんどん強くなっていくタイプと、ローグライクとしてのストイックなプレイを追求して毎回裸一貫で始めるタイプがあると思いますが、自分は前者でした。輪廻を繰り返して強くなっていくとかツボ過ぎて、ええ。

あとはBGM。オリジナルではなく素材ですが、選定に妙があると思います。長く聞いていても飽きが来ない曲ばかりでした。地域によるBGMの変化も演出に一役買っていて、哀愁漂う荒野の曲から雄大な草原の曲に移り変わったときのほっと一息つく感じとか、まさに旅してるなー、って感じが素敵です。

木精リトの魔王討伐記(11月)

したたかな勇者様
したたかな勇者様

本作に関しては完全に、シナリオが面白くてハマリました。お飾り勇者のリトが、とっさの機転と鋭い洞察によって事件を解決し、徐々に本当の信頼を得ていくさま。その人徳によって仲間が増えていき、賑やかになっていくパーティの楽しい掛け合い。変わり者ばかりのパーティの心が一つにまとまっていき、しかし離ればなれに……そして再び集う熱い展開。単純熱血系ではなくて思慮深いけど、ここぞというところではやっぱり熱血もアリのリトさんマジ勇者。

ハイテンションギャグと魂の籠もった熱い台詞が両立しているシナリオは、非常にこなれていて安定感もあり、最後まで引き込まれました。会話の掛け合いが本当に巧いんだよなあ。キャラクターの表情も豊か。基本的にツクールのデフォルトキャラベースですが、表情差分を増やした追加のグラフィックを使われているようですね。独自の神話による壮大な世界観、そしてそれがリト自身の秘密と結びついていく終盤の展開も胸が熱くなります。

キレる勇者様
キレる勇者様

ストーリーの盛り上がり所はたくさんありますが、敢えて一番好きなのを選ぶなら、帝国攻略戦の終盤、「決死の覚悟」で飛び出していこうとする男衆をリトが一喝する流れかなあ。ボロ泣きしながらクスクス笑うというよくわかんない状況に(笑)。

あとは、ラルフ君絡みの話も感慨深く。リトの前任にして、失敗してしまった人。何となく、「バッドエンドになってしまった前作の主人公」という雰囲気を感じるのですが、実際、ラルフやその関係者って、RPGツクールVXのデフォルトキャラなんですよね。オーソドックスな勇者パーティではなし得なかったことを、変わり者ばかりのリト達が実現していく。そしてそれを見届けたラルフも意識を変革していくという。リト達がRPGツクールVX Aceのデフォルトキャラであることを考えると、メタ的にもちょっと面白い流れだと思ったりしました。

武闘家タイプのエドガー君は反撃率、クリティカル率、回避率上げる秘石をセットするとかイメージ重視で
武闘家タイプのエドガー君は反撃率、クリティカル率、回避率上げる秘石をセットするとかイメージ重視でキャラを演出するのも楽し

システム面では、やはり秘石合成がやみつきになります。気が付けば1時間とか経っててやばい。ユニークな効果をもつ秘石を、キャラクターの特徴をより伸ばす方向に使うのが楽しかったです。2回攻撃できるディーン君に、状態異常攻撃の秘石つけまくったり。店で買えないレア装備からオンリーワンの秘石が作れるのも燃えますね。

戦闘については、この秘石によるキャラクターカスタマイズと、戦闘参加メンバーの選出という戦略面が肝かなと思ったり。アタッカー、回復、サポート役をバランス良くとか。速攻型とか。色々考えるのが楽しかったです。難易度自体は比較的易しめ。公称ジャンルはSRPGですが、個人的な印象としては位置取りの要素ありのCTBという趣で(軌跡シリーズみたいな)、割とサクサク戦えました。シンボルエンカウントなので、ダンジョンのザコ戦をほぼ全部すっ飛ばして、ボスを死にかけてヒイヒイ言いながら倒すくらいがちょうどよい感じで。カーソル自動移動などUIも良好。

ただ、私がプレイしたあとVer.2.00にメジャーバージョンアップし、地点指定でのスキル発動や詠唱妨害、直線射程など戦略性がアップする要素が加わったようです。入り組んだ戦闘フィールドが多い割には仲間をすり抜け移動できずターンを無駄にすることが多かったのですが、これもすり抜け可能になった模様。いつか2周目やってみたいな……。

プレイ時間は37時間。大作ですが、シナリオのテンポが良いので間延び感は一切ありませんでした。あとこのうち3時間くらいは多分、秘石合成やってた時間だと思います(笑)。

続・後編に続く

今度こそ、それほど書くことないはず……と思ってたのにむしろ増えちゃった。これ以上いっぺんには、書くのも読むのも大変そうなので別記事にします。もうちょっとだけ続くんじゃよ。

 

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