裏サンデー第1回投稿トーナメント参加作品「辺獄コイン」感想メモ

「辺獄コイン」
「辺獄コイン」

小学館のWeb漫画サイト「裏サンデー」で、連載漫画を投稿し、読者投票上位のみが次の回を掲載できる……という企画「第1回投稿トーナメント」が開催されています。1回戦は3月に行われ、これを通過した21作品による2回戦が今日、4月30日に始まりました。同一作品への投票は12時間おきに可能で、投票期間は5月7日24時まで。

自分が応援していた作品の中では「辺獄コイン」が1回戦を通過。第2話も面白かったので感想など。支援という気持ちがないわけではないけど、PV/dayが2桁の過疎ブログなのであんまり意味なさげ、まあ気にしない感じで!

※まだ2話だしいいよね、ってことで遠慮無しにネタバレ行きますのでご注意ください。

シンプルながら抽象的、想像力を刺激するルールの異能系バトルロイヤル

「辺獄コイン」は敢えてざっくりとジャンルを述べると異能系バトルロイヤル。王道といえば王道で、実際今回の投稿トーナメントでも結構このジャンルの作品が多く目に付きました。(余談ですが、バトルロイヤル作品が読者投票で脱落していくのはメタ的にちょっと面白い……って本当にどうでもいですね)

それぞれ、「主人公が一見最弱」とか「知略戦」とか趣向を凝らしているわけですが、「辺獄コイン」のポイントは、大枠のルールはシンプルながら、具体的な能力の部分が抽象的で、想像力を刺激する内容になっている点だと思います。

抽象的で、どこか不気味なルール説明図
抽象的で、どこか不気味なルール説明図

バトルロイヤルものだと、ルールが文書で示されたり、解説役が語ったり……というのが定番ですが、本作では1枚の紙でドン!と示されます。見開きで表示される、古代の壁画のような、簡略化された「人物が何かをしている」イラストの数々。その下に意味ありげに書かれたコインのマークと数字。イラストの端々に見える悪魔のような意匠。1枚の絵で、「他人を殺すとコインを奪える」「奪ったコインを消費してさまざまな武器・能力を得ることができる」と端的に示しつつ、絵にすることでルール設定者の意図をぼやけさせ、不気味さを演出しているのがいい感じです。

コイン消費の効果がすべて最初に明らかにされているのも、後付けで色々設定が盛られたりすることがなさそうでフェアな感じですが(バトルロイヤルのプレイヤーにとっても、読者にとっても)、抽象化されているので効果は想像できても、具体的にはやってみないとわからないので先が読めてしまう、ということもなく。ビジュアル面も含め、これが一体どうなるのか?予想する楽しみがあります。

実際、読み進めるにあたって、このルール説明の絵を別ウィンドウで表示しながら読むと面白いです。武器とかには消費コイン数が意匠の一部として刻印されているので、敵が使ってきた武器とかも、ルール説明図のどれに相当するのか確認しやすいとか、細かい配慮も有り難いですね。(設定上の意味もあるのかもしれませんが。)

あとはやはり、思いっきり意味深な右下の「-100」が気になるところ。

極限状態でそれぞれの反応を見せる、魅力的なキャラクター

「本職」っぽいオーラが出てるミシェルさん
「本職」っぽいオーラが出てるミシェルさん

舞台は死後の世界、そこでさらに殺し合うという救いのない状況。そんな中でも主人公、新堂京一君は自分はおろか赤の他人まで助けようとします。少年漫画主人公的な格好良さも感じつつも、さすがに危なっかしいまでの正義感。ただ、その理由の片鱗は2話でちょっと見えてきたかなあと。とあるハンデと、その意外な解消法にもぐっと来ました。やはりこの辺は、能力が抽象的なのが効いてますね。

個人的なお気に入りは、2話で登場のミシェルさん。合理的な判断だけで動く人じゃないけど、線引きはキッチリする感じ。戦士の風格を感じます。師匠系キャラになってくれると嬉しいですが、いつ誰が死んでもおかしくない世界観だからなあ……。

ほか、初心者狩りに来た敵方もいい感じにゲスくて楽しいです。

姫乃森さん(回想シーンより)
姫乃森さん(回想シーンより)

そして1話ヒロイン(笑)の姫乃森さん。役回りとしては状況の異常さを伝える人ですが、それはさておき、サービス要員ヤッター!(おい)。1回戦では毎日投票していましたが、だんだんコメントのネタが尽きてきたので(投票にはコメント必須)「ふともも!」とか「おっぱい!」とかコメントしてたのをここに白状します(汗)。一部には、そういうコメントは票にならないって噂もあったけど、コメント欄に表示されないだけでカウントはされてたんじゃないかなあ(憶測)。

さておき、2話で出番があるとは思わなかったので嬉しいです。3ページ、相変わらずいいふとももだ。●んでるけど。回想の方もドッキドキですが、流石に丸見えすぎじゃあないですかね。いいぞもっとやれ。

インパクトのある大ゴマ

本作の作者はスバルイチさん。プリンセスセイバーというフリーのRPGのイラストを担当された方です。自分はもともとこのプリンセスセイバーの大ファンで、その繋がりで「辺獄コイン」も知ったのでした。といっても、事前に知らなくてもきっとハマってたんじゃないかなーと思いますが。さておき、プリンセスセイバーのイベント絵は、画面いっぱいに描かれた、キャラクターの気迫が伝わってくるようなイラストが大変格好いいのです。

本作も、もちろん全体的に画のクオリティは高いのですが、ここぞというときの大ゴマにインパクトがあり、目が止まります。1話のカラー扉絵しかり、剣が出るところしかり。そしてインパクトの面ではやはり、「びりゅっ!!」は外せません(笑)。2話はアクションが充実していて動きのある内容でしたが、それだけに最終ページの大ゴマの、悠然と歩む姿に動と静のコントラストを感じて溜め息が漏れちゃったりしました。いやぁ、3話以降も楽しみです。

ちなみに、スバルイチさんのサイトではWeb連載の漫画「ビジョンクエスト」も掲載されています。異界渡りとか、力に溺れて大切な人を失った記憶を封印していた主人公とか、回数制限つきのチート能力とか、こちらもいい感じに中二病で楽しいです。

おまけ:投稿トーナメント1回戦で応援してた作品のその後

「辺獄コイン」の感想は以上です。おまけとして、他に応援していたけど1回戦通過ならずだったけど、独自に何らかの形で続けて行かれることになった作品についてちょこっと。

蜘蛛
「蜘蛛」

地上が蟲に占拠された世界が舞台の、機動歩兵隊のおっさんとようじょの話。背景の描き込みとアクションの躍動感が素敵。1話冒頭でアバンタイトル的に、その後戦士となったようじょの姿が描かれているのですが、それが凄く凛々しくて一目惚れしたので、何とかここまで読めたらいいなあと思っていたのでした。

今後も独自に連載を続けていかれるようなので、本当に有り難いです。既に1~2話と、3話の冒頭がブログ上で読めます。各話のカテゴリを選択すると、分割掲載されている後ろの方から表示されちゃうのがちょっと注意です。

終わってる世界を舞台に、ギター抱えた女子高生とおっさんとロック。ポジティヴな勢いを感じる主人公が素敵です。そしておっさん渋い。

「遺言状放送 no world order」と改題され、独自に継続されることに。有り難うございます……。現在、投稿トーナメントに投稿されていた1話ではなく、プロローグが掲載されています。第1話では背景がわからないまま突き進んでましたが、まさにその背景部分、かな。主人公は最後にちょっとだけ登場。

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