C83作品感想メモ10 同人ゲーム制作ビジュアルノベル「同人ing ~Let’s make the doujin game~」(ほぼ脱線トーク御免)

同人ing

高校生達によるゼロからの同人ゲーム制作を描いた同人ノベルゲーム。コミティア当日に最終章読了!ということで感想など。……と思ったのですが、作品そのものに関するおおまかな感想は上記の一章~三章感想記事で書き尽くした感があり、最終章の内容ともなるとネタバレでしか言えないようなことばかりなのでどうしたものかと。結果、本作を読んで感じたことを脱線気味に書いてしまいました。自分語り乙で恐縮ですが、こっちはあくまで個人的な日記なのでご容赦を。

また、現在公式のキャラクター人気投票が行われていますが、選べるのは1位と2位まで。本作は魅力的なキャラクターがたくさん居て選びきれないので、悩んだ過程を垂れ流したり。

「同人でお金を稼ぐ」ことをテーマに掲げることについて

作中でラン&ループが四作目のテーマについて議論するシーン、これ実際にあった議論ですよね?(笑)というくらい真に迫っていました。というわけで、野暮かなあと思ってあまり触れてなかったところだけど、作中でも話題になったくらいなのでまあいいかなと、徒然なるままに。

まず瞬間的な反応として、瑠璃子が危惧したように「儲けを前面に出すなんて」というのはやはり、どうしてもあり得ると思います。ただ、よく訓練されたノベルゲープレイヤー(笑)なら「135万円」という中途半端な額がフックになって、「何か裏がありそうだぞ」と興味を引かれるかも。

私自身はどうだったかというと、「とりあえず過去作品(スターリーカラーズ)がフリー公開されているのでこれを読んでみよう」と思いまして、その結果「こんな熱い話を創ったサークルさんの作品が、ただ儲けを目指すような上っ面だけの内容であるはずがない」という、ある種の信頼感を持ったという流れ。なのでバイアス無しでの評価はできていません。しかしこれ、作中のラン&ループも立ち位置的には同じだったのかなと思います。テーマ性の高い、「読ませる」作品を作って実績上げてきたからこそ、「ループの新作なら」という納得感はあったのだろうなと。

ちなみに、これも今だから白状するここだけの話、最初に体験版(現在公開されている一章まるごと版とは違い、序盤だけのもの)を読んだときに、お金儲け云々以上に引っかかったのは、同人ショップでのリサーチ用の作品購入のとき、最後に康平が買うアレの話。某商業サイトでこの体験版を紹介するのは是か非か、ちょっと真剣に悩んだのは秘密です。とはいえ、まず「フィクションである」という大前提、そして少なくとも一章を最後までプレイすれば伝わるはずのことを考えて、「アリ」だろうと。

結局共通して言えるのは、「その1点だけ取り出して評価するのではなく、全体の流れの中でその意味や意図を考えるべき」ということかな。最近のアニメとかで、全体の中でみれば些事でしかないワンシーンを引きずり出して“炎上”させるパターンとか見てても思うわけです、はい。

それにしてもここの一連の議論は面白かったです。もちろん作中作について語っているのですが同時にこの作品について語ってもいて。一章でのレビューサイトの件に続き、現実と虚構の境界が曖昧になったような不思議な感覚。一種のARG(代替現実ゲーム)……とまで言ってしまうと言い過ぎかもしれませんが。余談ですが、「同人ing」の中で作る作品が「同人ing」、までは想定範囲内として、その中で作るゲームが「同人ing」はさすがに吹きました。何重メタ構造だこれ(笑)。

潮時について

東京食堂の二人が語っていた、「僕はいつまで同人活動してんのかなー」という話。作り手側の話は、私は作り手ではないのでここでは踏み込まないとして、これ、プレイヤーとしても三十越えると思う所があります。いやもちろん、作るのとプレイするのは別次元の話だし、ゲームを手にとってプレイするなんてことはいつだってできることではあるんだけど。盆と大晦日という、いい大人なら家の雑事をするのが普通な日に毎回イベント行ってウン万使って……って生活、いつまでできるんだろうなって(苦笑)。コミケ一緒に行ってる同年代の友人とそういう話をしたりもまあ、するわけです。

まーでも、奥寺さんの言うとおり、そんなの今から考えても仕方ねえなと(笑)。そんときになったら、なるようになるしかない。あとはまあ、いつか自分は卒業?することになるとしても、その後もこの界隈が続いていけばいいなと、そのために僅かでも自分にできることを探したいなと、某商業サイトの方では考えていたりもするわけです。ちなみにこっちは完全に趣味、将来の自分のために書いてる日記です(笑)。

おまけシナリオについて

本編についてはネタバレになるので触れないと言いつつ、おまけならまあいっかな?と。まず「同人ゲーム男子」。ああ、こういう「どこかの誰か」からの第三者視点での後日談、いいですね。すれ違う人達ひとりひとりにも、ドラマがあるんだと感じられて。もちろん、ここまで築き上げてきたリアリティあっての内容だと思います。……そしてこの主人公氏。誇張ありとはいえ、あまりにも「俺ら」すぎる(笑)。よく観察されているなぁと思います。

2本目。……もうこれタイトルが出オチすぎるw 内容もやばいwww 深夜4時に声出して笑っちゃいましたよ。確かに生々しいまでの身体性を感じさせられるのは同人ingの魅力ですが、流石にこれはねーよwwwwww でも結局最後はバカップル!

「がーるずとーく」。前回の感想記事で「彼女ら三人(色葉さんも加わって四人か)がガールズトークするサブシナリオとかあったら読みたいような、怖いような複雑な気持ち」なんて書いてたらこんなシナリオがあって、やった俺得!とか思ってたら、なんと件の記事から着想して執筆いただいたとのこと。ありがとうございます……!最高のご褒美です。さておき、内容は期待通り康平がボロカスに(笑)。「なんか面白くない。本当に物書き?」が一番理不尽で吹いた。でも最後はバカップル!奇声上げる女性陣が楽しくてニヤニヤが止まりません。

キャラクター脳内人気投票(10位まで)

というわけで、「もし、キャラクター人気投票で10位まで投票できてたら誰に入れたか」を想定して上位キャラについて語ってみる遊び。みんなそれぞれカッコよくて可愛くて、並べて比べるようなものでは本来ないんだけど、そこを敢えて順番つけたらどうなるかという想定順位順に。

小湊伊織

2位から先はすごく迷うのですが、1位はもう一章の時点で、いやもしかしたら最初の体験版の時点で確定しておりました。天真爛漫、ちょっと天然の元気っ子。ビジュアルも含め、もう何もかもが!むはー!(←「むはー!」は伊織が言うからかわいいのであって、男が書くときもい!)

前回の感想でもちょろっと書きましたが、そんな伊織だからこそ、まれに見せる「女」の部分にドキっとしてしまったり。

「でも伊織……本当にそれだけの気持ち?」
「それは……瑠璃ちゃんの思っていることもぜんぜんないって言ったら嘘になるよ」

瑠璃子とのこの会話。康平への気持ちをを瑠璃子に打ち明けていること。瑠璃子がそれに対して抱いている複雑な想い。その辺がそこはかとなく伝わってきて……。あ、瑠璃子と伊織といえば、伊織が瑠璃子のマネをするシーンもかわゆくて好きです。康平が言っているとおり、ものすっっごく似てないんだろうなあ(笑)。

最終章、そして本編後についてはネタバレ抜きで語りにくいけど、おまけシナリオで垣間見える感じだと、少し遠慮も抜けていい感じに甘えてもいるようですね。「わたし、ワガママさんかな?」うわぁあああああああ!!!康平!爆発!しろ!

中二っぽく言うと、すべてのはじまりであり、終わりの始まりでもあり、続いていくこれからの象徴でもある人。

○○○ a.k.a. ○○○○○

いやほんと、もう一人選ぶとしたら誰か、非常に迷います。康平君も本当にいいリーダーなのですが……ここは敢えて、そんな彼を形作った師匠とも言えるこの方に。いやこの方っつっても諸事情につきオール伏せ字ですが(これでちゃんとネタバレ回避できてるかな……)。

この方があの方だというのは早い段階で思っていましたが(取り立てて隠してもいなかったとは思いますが)、だとしたら時折出てくるあの方はどういうこと?と思ってたら……これは完全に騙されてました! あらためて過去の登場シーンを読み返してみましたが、なるほど、アイキャッチで途切れている(笑)。ただ、あまりにも騙され過ぎで、最終章での登場シーンから種明かしまで間が空いたので、その間「え?二年間ってどういうこと?」と若干混乱してしまったのも事実。

さておき。本当に「○○○○○の帰還」のシーンが格好良くて感無量で。ビジュアルがまたいいんですよ。腰に手を当てて不敵に笑う。アングル含め、ちょっと違うけどいわゆる「ガイナ立ち」を連想したりしました。服が赤というのがまたね。前との対比的にも。

そういえば、最終章の前に以前コミティアで限定配布された「ラジオデイズ」PDF版を読んだのですが、なぜテーマが報道被害だったのか、あらためて考えると感慨深いですな……。

赤名康平

我らがリーダー。バランス感覚と情熱を併せ持つ人。

語り部であり物語そのものと不可分なので、キャラとして個別に語ることは意外となかったりする。

成宮奏

真摯な人。真摯すぎて壊れかけちゃったけど、復活あるいは覚醒してからの頼もしさといったら!

ビジュアル面では二章終盤まで、怒ってるか落ち込んでるかの表情が多かった反動もあり、それ以降、「あたしに任せて!」って場面で見せる屈託のない笑顔がすごく可愛いです。

瀬川瑠璃子

メンバー4人(当初)の同人ゲーム制作サークルで、一人は実制作に関わらないメンバーって、バランス悪くないか?と思っていました。瑠璃子自身がラン&ループに不可欠であることは一章終盤ではっきりしたけど、それはそれとしてメタ的に見るとこの構成にどんな意味があるだろう?と。

……で、あくまで私の個人的解釈ですが、瑠璃子ってプレイヤーの大多数を占めるであろう、「今現時点で制作者ではない人」が、自分の思いを託せるキャラクターにして代弁者なんですよね。とくに「制作もの」を手に取るような人、そして直接的でなくても自分に何か、この界隈に貢献できることはないだろうか?と考えている人にとって。

私が職業上、(文芸ではなくテクニカルライティングの分野ですが)似たような立ち位置に居るのでとくにそう思うのかも知れません。

小湊恭二

優しい人。優しすぎて正しすぎて伊織が大切すぎて。

言っていること自体は極論だけど正論。ただ、自分自身の感受性云々は抜きにしても、過去の例の留守番の件で、創作の持つ効能を合理的に理解することはできなかったのかなーと思ったりはしました。

時海色葉&黒田大輔

なんとなくこの二人はセットで。

不器用な人達。ボタンの掛け違いで袂を分かってしまったけれど、どこかの並行世界ではラン&ループで起きたような事件がフロンティアエッジでも起きて、そのまま名コンビになっていたという想像をしたくなったりもします。もちろん、この同人ingという作品においては色葉の居場所はラン&ループしか考えられませんが。

青葉四朗

袂を分かったといえばこの人。道は違えどお互い尊敬しあえる友人とか……もうね!

「じゃあな、親友。オレはこっちだ」
「ああ、またな。俺はここだ」

宮口くん

同人ingきってのツンデレキャラといえばこいつだ!(おい)。一章での扱いがあまりにもステレオタイプに悪役だったのでちょっと可哀想でしたが、結果的にオイシイ立ち位置になってくれたと思います。彼にとっての伊織のような存在と、いつか出会えるといいねと思ったりします。……あ、いや、やっぱり当面はピエロでいてくれたほうが楽しい(笑)。

そんなところで

東京食堂のお二人やフロンティアエッジのお二人さんも、秋山さんも大好きですが、きりがないのでこの辺で。

あと番外ではアキラさん。「帰ってプレイするまでが僕のコミティア」って元ネタの人の決め台詞ですね(笑)。

やっぱり最後に「同人ing最終章 ~赤き誓い編~」についてちょっとだけ

サブタイトルの意味に気付いたときが一つ目のクライマックスでした。受け継がれる赤。なお、「男子高校生が、惚れた女が身につけてた布製品を受け取った場合、匂いを嗅ぐかどうか」を脳内で真剣に議論していた僕はもう駄目だと思います。本当に申し訳ございません。

最終章における障害は、相手も筋が通っているだけに高い壁で、その分何もかもスパッと解決、というのも違うだろう……と思っていたのですが、因果から通じる納得のいく切っ掛けがありつつ、落とし所も良かったと思います。余韻のある素敵なラストでした。

おまけ

公式で言及されてたのでもう解禁かなってことで私も書いちゃいますが、某あとがきブログを発見した人はそんなに多くないのかな?拍手があんまりついてなかったので。あれ、見つけたら拍手押したくなりません?(笑)

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