C81戦果感想メモ12 同人ゲーム制作ビジュアルノベル「同人ing」一章~三章

同人ing

高校生達によるゼロからの同人ゲーム制作を描いた同人ノベルゲーム。体験版プレイして気になって、一章から毎回買っていたんだけど積んじゃってましたが、今回三章までまとめてプレイしました。

全体的に感じたのは、(ときにちょっとエグいくらいの)生々しさ。一章はゲーム制作の一通りの流れ。二章は制作で最初にぶつかる壁。三章ではステップアップと、課題提示→解決の流れがはっきりしていて、ノンフィクションめいて感じる部分もありました。もちろん、これにキャラクターによる熱やドラマチックな展開も加わるんだけど、そのさじ加減が絶妙で、「これくらいなら本当にあるかも」と思えるくらいのリアリティ。一章読み終わったのが深夜だったのですが、変にテンションが上がって「コミティア行ったらこいつら本当に居るんじゃないだろうか」とか妄想してました。

実在のイベント名やツール名、作品名などもどんどん出てきたり、実在のイベントやレビュアー(!)をオマージュした設定も出てくるのですが、これが単にネタとして出しているのではなく、それらに参加したり、本気で分析して作品作りに活かしたりといった描写が出てくるという。主人公の康平自身も言っていたけど、こういうゲーム制作ものとかって突出した才能をもつ人が~みたいにファンタジーに寄せるパターンもあるけど、本作はそうではなく本当にゼロから、ガチの制作系という印象です。

康平以外のサークルメンバーはみんな女子ですが、これまたハーレムどうこうみたいな方面に振ることもなく(作中でネタにはされていますが)。むしろ奏の化粧の話とか瑠璃子が伊織と友達になるエピソードのアレとか、生々しい方面でのリアリティに寄与しているという。エグいってのは主にこのあたりの話ですが、こういうのがあると、キャラクターが肉体性を持った存在として感じられます。「↑↑↑↑↑↑」はまた別として(笑)。

以下、各章感想など。それなりにネタバレもあると思いますので注意。

一章 0のゲーム制作編

まずはリサーチから入ってプロット→制作→生産→イベント頒布→フィードバックまでと、実際に1本作るまでの流れを丁寧に。

瑠璃子のポジションが最初若干不安の種というか、仕切ってる人間が会計・広報担当ってそれ「当方ヴォーカル、バンドメンバー募集」に近いものがあるんじゃ……と思ったりもしましたが。この人が本当にいい仕事をする。要所要所での課題整理に、一歩先を読んだバックアップ。やり方は一つじゃないよなあと、侮っていたことを羞じました。

誤解していたと言えば、135万円稼ぐという目標。もちろん何らかの事情があってのこととは想像できるのですが(フランクリンなんちゃらは一瞬で嘘だと思いましたが(笑))、それにしてもあまりお金が前面に出てくるのはなぁー、とか思っていました。が。あのシチュエーションであのように明かされたら、もう認めるしかないじゃない。「ユーザーからお金を頂く行為」自体に意味があるんだ。

1つ気になったのは、悪役があまりにも戯曲的、テンプレ的というか、いまどきテンプレでもここまでコテコテじゃねえよ!というくらいなところかなあ。それ以外のすべてがリアリティに満ちているのでなおさら感じました。

リアリティといえば「アキラの同人ゲームレビュー」。ヘッダーの「現在レビュー数2000突破!」でもしや……と思ったら、レビューの体裁がまんまという(笑)。思わずモデルの方のレビューを読んでニヤニヤしたり。本当に、継続って凄いことだと思います。

二章 夢奏クリエーター編

導入は済んだということで、テーマ性を強く感じた章でした。作りたいものとユーザーが求めるもの。努力と才能。深山さんの言葉は鋭く、姉ちゃんの言葉は染みこむように。

奏のモチベーションがドラマの軸になりそうなのは一章から予想していましたが、思った以上に重くて深い。それだけに、そこを超えたときのカタルシスはたまらないものでした。突き抜けた奏がまた一気に可愛くなっちゃってねえ。有り体に言えばツンデレっぽいですが、何に対してツンだったのか?といえば、大げさに言えば世界でしょうか。もう少し狭く言えば創作というもの。

章の内容が内容だけに、BGMもいつも以上に意識しましたが、「――了解した。状況を再開する」からの疾走感が、「テキスト」「日付表示に残り日数が出る演出」「途切れないアップテンポBGM」の相乗効果で凄い。ある意味バトルものとも言えるノリだと思いました。

三章 伝送スクリプター編

オリジナル2作品も無事頒布すれば、界隈的にはもう一人前なんじゃないでしょうか。というわけでサークル的にはステップアップな章。そしてコンテスト。また実在のイベントがモデルですね(笑)。

同人におけるコンテスト的なものへの個人的な考えは康平に近いですが(モチベーションアップ、広報的な意味でのお祭りとしては良いものだと思います。そこに何かしらの権威があると勘違いさえしなければ。実在のコンテストはその辺のバランスは良いと思いますが、本作のはちょっと権威寄りだったかな?話の都合上)、それはそれとして勝負、というのはやはり手に汗握るものですねえ。競うこと自体への疑問はもちつつも、チームのモチベーションとして昇華していく康平のバランス感覚は共感が持てました。また、お互いのマネジメント担当が、勝敗そのものより先を見た戦略をもって参加してたのは、やはりニヤリとするところで。

自信満々の色葉さんと完全に任せっきりの康平が思いっきりフラグで、一度ガチでぶつかるかなぁ、と思ったら意外な方向に。そっか、ガチでぶつかって駄目だったのが黒田さんだったんだ。この件について、康平は黒田さんより良手を取れたわけではなく、偶然による面が強い。色葉さん自身が言っているように、同じことがフロンティアエッジ時代にあれば色葉が抜ける必要はなかったのでしょうね。最後の黒田さんと色葉さんの会話、お互いにそれがわかっていて、でももう色葉さんの居場所はラン&ループなんだ。……ただの喧嘩別れより痛いね、これは。恋愛もののような切なさがあります。

恋愛ものと言えば。ここまで敢えてぼかしていた感もある康平と伊織の関係ですが、ここに来て明確に来ましたね。「コウくん」はいけません。やばすぎます。悶えます。ゴロゴロします。まだ淡いですが、こりゃ確実に……末永く爆発しろ! さておき、本編は基本的に康平の一人称なのであまりそっち方面の話はなかったですが、女子同士がそういう話してるっぽいのは端々から伝わってくるんですよね。「本当にそれだけの気持ち?」「全然ないって言ったら嘘になるよ」あたりのやり取りは、女同士だけで通じている緊張感みたいなものがあって結構ドキっとしました。というか康平が鈍感なだけという話もありますが(笑)。彼女ら三人(色葉さんも加わって四人か)がガールズトークするサブシナリオとかあったら読みたいような、怖いような複雑な気持ち。

さておき。康平達も順調に成長してるだけあって、三章はどちらかというとドラマチックというより色葉さん絡みでしみじみと感じ入ることの方が多かったなあ、なんて油断してたら最後に凄いの来た!きっちり落としてきましたよ。最終章が待ち遠しくて堪らないです。

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