C86作品感想メモ1 異世界サイバーパンクダークファンタジー・ノベルゲーム「DREAM LESS WORLD」体験版 ~クランチ文体で語られる異世界/悔恨+希望=戦いの始まり

  • DREAM LESS WORLD 体験版/ArkRiot(体験版無料配布中)

実際には夏コミでは配布完了で入手出来ず、Web版をプレイしました。それはさておき、サイバーパンクってことで期待してた作品ですが体験版なかなか面白かったので簡単に紹介と感想など。プレイ時間は公称1時間強。

サイバーパンクという前情報、タイトル画面はスーツに仮面の女ということで「現代~近未来もの?」という先入観でプレイを開始すると、まず始まるのは中世らしき舞台で魔女狩り?の対象となった女性の最期。ギャップと疑問喚起で掴みはオッケーな感じでした。諦観から「その瞬間」にかけて怨恨・狂気へと至る生々しい感情表現もいいフック。ただし本編との関係は現状不明……まあ本編における誰に該当するのか、ちょっとだけ心当たりはありますけど。

その後は視点が主人公の悠に変わり、自分の責任で(と少なくとも本人は思っている)弟が昏睡状態に陥ってから7年間ふさぎこんでいる現実世界の様子から、ドリームレスワールドと呼ばれる夢の世界に迷い込み、そこで弟を助けられる可能性を知り、そのために戦うことを決める……という所までが体験版のざっくりとした内容。悠が身を寄せることになるレジスタンスの面々はそれぞれ強い意志を感じさせるキャラクターで、とくに悠に戦い方を教えることになるエテルノさんとの修行風景は体験版での個人的に一番の見所でした。師匠キャラいいよね! ドリームレスワールドに迷い込んだ悠を最初に導くことになるノーマッドさんもなかなか渋い。

ノーマッドさん。初対面時めっちゃ怖そうだったけど、いい人でした(多分……)
ノーマッドさん。初対面時めっちゃ怖そうだったけど、いい人でした(多分……)

クランチ文体で表現される異世界

本作の一番の特徴はやはりクランチ文体かな。現実世界では通常の文体、ドリームレスワールドではクランチ文体という使い分けにより後者での異世界感が醸し出されているのと、戦闘など緊迫感、疾走感の表現にマッチしていると思います。最初はやや、読みにくい感がありましたが徐々にしっくりしてきた……のは、書き手が慣れてきたのか読み手が馴染んできたのか、あるいはその両方か。後書き的おまけシナリオによるとさらなるブラッシュアップも予定されているそうなので期待しつつ。少なくとも現状でも、単にイロモノとしての採用ではなく世界観や表現との相性を考慮した上での採用という印象です。あと、1行ずつ順次表示されていくノベルゲームというフォーマットにもなかなか合ってる気がしますね。

クランチ文体による情報圧縮
クランチ文体による情報圧縮
緊迫した状況の表現ににはとくにマッチしている印象
緊迫した状況の表現ににはとくにマッチしている印象
会話文+補足。普通のADV形式だと改ページ入るところまで一息に進むのでテンポがよい感じ。ノベル形式とADV形式の中間のような画面構成との相性もよさそうです
会話文+補足。普通のADV形式だと改ページ入るところまで一息に進むのでテンポがよい感じ。ノベル形式とADV形式の中間のような画面構成との相性もよさそう

現実世界とドリームレスワールドとの違いという点では、悠の立ち絵が現実世界では「目立たぬように、人と関わらないように」と生きていることを反映して前髪で目が隠れるモブ的表現なのが、ドリームレスワールドでは主体性をもって動くキャラクターとして描かれるのと連動するように、目が見える立ち絵になるのが興味深かったり。現実世界でも少しずつ変わろうとしているので、いずれその辺も変わってくるのかなーとか。

現実世界ではめっちゃモブっぽい悠君。幼なじみとも微妙な関係
現実世界ではめっちゃモブっぽい悠君

システマティックな現代魔法ファンタジー。サイバーパンク要素はこれから?

ドリームレスワールドにはマーティアと呼ばれる魔法使いのような存在が居て、それぞれ対立関係のある5属性と、攻・動・守という3すくみ関係の特性が……というのが本作におけるバトルの要っぽい。RPG的だなーという印象。

ゲームっぽい。いやゲームですけど
ゲームっぽい3すくみ関係。アクションに期待が持てる一方、明確な戦闘ルールの存在する世界=創造主の作為めいたものを感じたり

で、悠君の戦闘スタイルは何ぞや……と思ったら、現状は「無能力者」。今後覚醒しそうなフラグも立っていますけど、無能力なら無能力で「夢世界なので肉体的に疲れることはないが、マーティアは精神を消耗するので長期戦は不利」ということで立ち回りようによっては戦えるとか。なかなかルール形成が凝っていて、今後の魔法バトルが楽しみな感じです。戦う覚悟を決め、初戦でなかなかの機転を見せる&学んだことをしっかり実践するも、もまだまだ甘さも残る悠君の成長も見所かな?

一方でサイバーパンク方面では、体験版の範囲ではそれほど目立った描写はなし。一応、魔法の応用もあり現実世界より技術面は50年ほど進んでいるという話はあるのですが、あまり実感はできなかったかなぁ。背景グラフィック的にも普通の現代の繁華街や高層ビルのような様相で、いまいちサイバー感(何)は感じ取れませんでした。おまけシナリオによるとこの辺も差し替え予定とのことなので期待しています。

ちなみにおまけシナリオに関しては、ネタバレも含め大分はっちゃけ過ぎだと思いました。いい意味で(笑)。

 

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