- fault milestone two 上/ALICE IN DISSONANCE
faultシリーズ2作目、読み終わりました。シリーズ自体に関する細々した話なんかはmilestone oneの感想に書いたので、
今回は軽くシーンごとの感想とか、ちょっと実況めいた感じで。ネタバレに関しては、さすがにもうmilestone one関係(というかルーン関係)については伏せるの無理なので気にしない方向で。本作に関するものについてはなるべく伏せます。
例のアレ
映像のインパクト(ここ、SEも凄かったです)や仕掛けとしての面白さ、あと「こっちみんな怖いよ(笑)」とか色々ありますが、何よりfaultの世界観への謎と興味がぐっと深まったシーン。終盤にも出てくるけど「権限」とは……。リトナさんが「まるでデウス・エクス・マキナ」と思ったあとに「何語…だ?」となるところ(外から練り込まれた知識?)とか、用語集の「ヴィっす」の欄の記述なども含め、まだまだ隠されてることが多そうでその点でも今後が楽しみになります。
こうなるとクラフト関係用語がIT用語っぽいのも微妙に気になってくるけど、さて……。
リガン様
今回初登場の新キャラ(?)リガン様。最初の登場時はひたすら怖かったですが、次の登場からは(某氏が言っていたように100%の状態ではないからというのもあると思いますが)存外に情に厚いところも見られて、ただその上に絶対のルールを敷いている御方なんだなぁという印象です。
あとは生きた時代の違いによる価値観の違いなんだろうなぁと。現代にタイムスリップしてきた戦国武将みたいなノリが面白かったです。自分を殺しかけた相手への賞賛とかまさに「敵ながら天晴れ」って感じですよね。あとはミルを対等な相手として話したあと「子供相手に言い過ぎたか?」ってなる所とか、「最近の若い者は~」というあたりは世話焼きお婆ちゃんっぽかった。
……リガン様についてテキストで語る分にはネタバレの心配はないけど画面キャプチャは載せられないもどかしさ(笑)。堂々とした立ち居振る舞いが伺える腕組み立ち絵とか、お茶飲んでるシーンの微妙にリラックスしてる感じとか好きなんですが。あとはもちろん戦闘シーン全般。
ルーンかわいいよルーン
ってお兄ちゃんは思ってるみたいです。
それな。ほんとそれ。ここの兄妹のやり取りとか凄くよいですね……。milestone oneを思い返すと特に。
RPGなら「ルーンがパーティインした!」とメッセージが出てファンファーレが鳴るところ。個人的にはここでついにゲストキャラから正式に旅の仲間になったと感じる印象深いシーンです。立ち絵会話でも通じるところ、向かい合う二人それぞれのスチル用意されてるのも有り難いですね……。というか全体的に、このワンシーンのためにスチル用意してくれるのか、という所が多くて、カメラ演出も凝っていて良いなあと感じます。
その発想がかわいい。
とまあ、そんな感じで気は優しくて力持ち、パーティの癒やし担当的なキャラだなー、なんて気軽に楽しんでいたのですが、しかし後半で「“彼女”の記憶と正常な倫理観を持った存在」というのはどういうことなのか、というのを突き付けられてはっとしました。ここで「“彼女”の被害者遺族」を出してくるのは重いなぁ……milestone two 下編ではその辺突っ込んだ話になるのかなあ。
そういった面や戦闘時のシリアスな感じも含め、ルーンはとくに表情豊かな印象。しょんぼりした顔、泣き顔も可愛いです(いや、変な意味ではなく……)。
ペイジュさん
敢えて画像は載せませんが初登場時のイベント絵がえろい。それはさておき、「対立状態から相手を値踏みして友情を紡ぐ」というペイジュさんのコミュニケーション姿勢からかつての自分を思い出して自己嫌悪に陥るリトナさんが面白かったです。予定されている外伝「SILENCE THE PEDANT」ではその辺の話やるのかなー、楽しみです。
まさかの匿名SNS
マナクラフトによる産業革命が一段落し、今は通信革命が起きている時代……というのが自分のfault世界観に対する解釈ですが、何とさっそくマナによる匿名SNSのようなものができているという。このあたりは現実世界のパロディ的な側面もありつつ、やはりfaultの、1つの仮想社会を描こうとするスタンスは好きだなぁと思います(国家に対する考察なんかも含め)。
説明を聞いたリガン様が 「例え、書いている人間が中年の巨漢である可能性があったとしてもか?」と一瞬で本質把握してるのは流石だと思いました。あと 「少女の視点で物語を書くような変な男の人なんているんですかね!」は微妙にメタネタですかね(笑)。浜鍋の所の「何故か1年半ぶりのような気分」とかもですが。
ギャグ漫画っぽい表情での掛け合いなんかも含め、milestone twoになっていい意味でゆるいノリも結構増えていて、表現の幅が広がったなぁと感じました。あ、faultって (そういう方向でも)懐の深い作品なんだ、と。
そして兄妹の物語
ミルの強さとか色々と感じ入る所がありましたが、何より「終わらせ方」が良かったです。作中でルーンも悩んでいましたが、いずれ去って行く彼女達は、行く先々で出逢う人々のすべてを背負えるわけではない。逆に言えばfaultという物語にとって、彼らはあくまでゲストでしかない。
けれどあのエンディングは完全に、もはやセルフィーネ様一行の手を離れ、完全に彼らの物語だった。今後も続いていく連作の中でああいう時間経過を見られるとは思っていなかったのでおおっとなりました。気高く生きた「彼女」の行く末を描ききったのも良かった。
というわけで「two 上編」だけど物語としては単独で完結、という触れ込みはやってみれば納得でした。1つのmilestone=1つの舞台、というコンセプトのようなので次もmilestoneは同じだけど、物語としてはここで一旦エンドマーク付ける以外の選択はないもんなぁ。
さておき。そんな中でセルフィーネ様が最後にしてあげたことが「子供達では抱えきれず壊れてしまうような真実を抱えて持っていく」というのがまた切なくてね……。
とまあ、ひとまず「2上」の感想はこんなところで。故郷からの3人組とか、悪役オーラ出てることを気にしてる(笑)ルビカさんとかもなかなか気になる感じですが、この辺は下編の方でさらに出番ありそうかなーという予感なのでその際にでもまた。
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