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お馴染みの暴れん坊ケータイ、ピヨちゃんと健気なソラが頑張るゆるふわでサイバーパンクなミステリ・シリーズの最新作。問題編40分+解答編10分程度の短編です。1年前のエピソード・ホーンテッドに続き、賞金(Amazonギフト券)つきの推理大会も開催されました。今回は冬コミで問題編が頒布され、後日解答編配布(ダウンロードには問題編同梱のパスが必要)および結果発表という趣。7日深夜に解答編が配布され、8日には推理大会の結果も発表されましたので、感想および推理大会参加の所感など。なお、推理大会の所感では核心的なネタバレは避けますが、どうしても推理内容に触れざるを得ないので解答編未プレイの方は注意してください。
今回の依頼は、口コミサイトで高評価ながら、どうしても遭遇できない屋台型のうどん屋を探す、というもので、ネット上のいわゆるCGMサイトというのが舞台の一部となっています。ミステリとしての感想は推理大会所感の方に書くとして、まず特筆すべきはこの「顔の見えないネット」とピヨちゃん暴走モードの、悪い意味での相性の良さ。今回さすがにそれはやり過ぎじゃないかとも思う場面もありましたが(苦笑)、相変わらず悪口のキレと低レベルっぷりには脱帽です。よくこんなの思いつくなあと。恐らく世界で一番「○(すみません伏せ字で)」という文字が登場するミステリノベルゲームだと思います。あと、「おまえの家、うどんの匂いがするぞ」は流行る!(おい)
まあ後でちゃんと謝っておけよ、とは思いますが。あ、でも結果的にあのページ自体(以下ネタバレにつき自粛)。さておき、パスタ屋さんのお爺ちゃんのエピソードといい、今回微妙に香川県民を敵に回している気もします。
グラフィックは、イリーガルジュヴナイルではふわっとした絵柄のイラストが採用されましたが、今回はふたたびシリーズお馴染みの、オシャレでスタイリッシュなベクターグラフィック調。ただ、勘違いでなければソラの表情アップが描かれるのは初かな? 細かい表情、とくにジト目のソラが可愛かったです。ふわふわソラも可愛いけど、やっぱりソラとピヨちゃんと言えばこっちかなあ、いや、やっぱりどっちも捨てがたく悩ましいです。
音楽は、ピヨちゃんが怒濤の勢いで書き込みしているシーンのBGMが格好良かったです。やっていることとのミスマッチによるおかしみという点でも印象深いのですが(笑)。
さて、ここからは推理大会の所感など。あらためて、ネタバレにご注意ください。解答編未プレイの方はここでそっとタブを閉じるのを推奨します。
まず問題編を読み終えたときの感想ですが、何から手をつければいいのか、さっぱりわからん!でした。「事件を解明してください」というものの、そもそも「何をもって解明とするのか」……言い換えれば犯人当てなのか、手段当てなのか、動機当てなのかがわかりにくかったのですよね。結局、サークル公式サイトの「追加ヒント」がまさにそれを示す内容だったのですが、個人的には普通に問題文(ゲーム内)に含まれるべき情報かもなあと思ったり。作者さんは、上記ヒントによりアンフェアにならないように配慮したとのことですが、逆に「ヒントなんか見ないで解くぜ!」という人が居たら、本来の意味での「ヒント」を見ないのとは違う意味で、不利になっちゃったかもなあと。この辺は、もし次があるなら今回の経験を活かしていただければと思います。
さておき。「動機を当てることに重きがある」「複数犯で、特定できない犯人も居る」というヒントでだいたい目処が立ちまして、本文3周しつつあれやこれやひねくり回した結果、何とか「犯人」と「動機」と「幽霊の正体」の3つを当てて松・竹・梅の松賞を頂くことができました! ……が、反省点も残る結果でした。
具体的には(はいここからネタバレ度上がりますよ。最終警告!)、作者さんが「とある手がかりに気づくと、一気に推理が発展します」と言われている手がかりを思いっきりスルーしつつ、それ以外の状況証拠をアホみたいに積み上げて、何とか「犯人である妥当性が高い人」をあぶり出す、という泥臭い当て方だったこと。しかも「とある手がかり」については、最初に読んだとき直感的に引っかかりを覚えて、確認しようかなーと思ったものの、めんどくさくなって結局放置してしまうという大失態を犯したのでした。そもそも、数字に強い人ならぱっと見で違和感に気付いたりするのかな。数字に弱いという弱点がもろに徒になった形です。
でも、こういう「失敗の疑似体験」ができるのもゲームの面白いところかなと思ったり。今後、ゲームに限らず似たようなシチュエーションのときに、同じ失敗は繰り返さないかもしれません。……なんて大げさな話じゃないよね(笑)。
さて、そこをスルーしつつ私が目を付けたのは、推理大会の結果発表ページで作者さんがまさに、「こういうたどり着き方もあった」と例示されている2つ。ちなみに、このうち前者については、「ビジュアル」ノベルならではの証拠だなあと思ったり。
ただ、これだけだとあくまで「妥当性が高い」というだけで、決定的ではないんですよね。そういう意味では、「とある手がかり」に気付いて真相をひらめくのが探偵的というなら、私のは地味に状況証拠を集めて80%の確証をもつ刑事的ともいえる解答でした。……今更だけど、これで「松」もらっちゃっても本当にいいのかなあ?(汗)
何はともあれ、昨年はまんまと「多かった間違い」の方に引っかかりましたが、今回は無事当てることができて嬉しかったです。ちなみに、今回も解答編では「こういう間違いがあり得る」という例が示されましたが、正直これについては全く思いつきもしませんでした。こっちの方が解答としてはひねられているような?……と思いましたが、言われてみれば確かに、そこに誘導する内容はありましたね。完全にスルーしていましたが(笑)。