- 國還し/豚貴族 ※R18
ニコニコ自作ゲームフェスという自作ゲーム(いわゆるフリゲ、同人ゲー等)のイベントが開催されておりまして(応募期間は終了)、どんどん増えていく参加作品を毎日チェックして楽しんでいたのですが、その中でもビビっと来た作品があったので感想など。他にも面白かった作品は結構あるのですが、それは某所で紹介するとして、本作は18禁なので残念ながら某所で紹介できないのでこちらで……という事情もあったりなかったり。
パラレル大正日本を舞台にした和風ファンタジー。ジャンルはシミュレーションRPGですが、ノベルパートの比重が高め。プレイした体験版は2013年3月31日バージョン。Readmeに「デバッグ、バランス調整が不完全」とあるように未完成の部分が結構あり、シナリオも一部話が飛んでたりするのですが、完成に期待が持てる内容でした。
舞台は天津神が治めるパラレル大正日本
作品の背景として、神代における国津神から天津神への国譲りが語られますが、それが神話の中の話だけでなく、実際に神が治める国として大正まで続いてきたのが本作の世界。物の怪とか半身半妖とか居ます。魔術とかあります。サクラ大戦とか朝霧の巫女とかあの辺のノリ。というか敵方の幹部に、まんま帝都物語の加藤っぽいのが居たり(ただし、あくまでビジュアルだけで設定などは別物……だと思います)。あ、大政奉還はされておらず首都は京都のままです。でも帝都は帝都って呼ばれてます。その辺はノリ重視な感じ?(笑)
ちょい煮え切らない巻き込まれ型主人公と、魅力的な仲間達(女子率高し)
主人公は、福島の田舎村に住む青年、西宮辰巳。国津神に付き従っていた「土蜘蛛」の末裔として迫害されていた彼が、巻き込まれるような形で国津に伝わる刀「地還乱世」を手にし、国津神の一柱「炬詠寂零」を封印から開放します。……で、そっからは完全に寂零のターン!
国譲りにおける歴史からは抹消された裏切り行為への復讐として、寂零は天津が治める日本を再び国津のものとする國盗り、いや國還しを決意。福島から南進する形で物語は進んでいきます。辰巳君は……成り行きで寂零に同道することになったものの、否が応でも民衆を巻き込んでしまうこの戦いに義はあるのか悩み、ときには寂零に反発しつつも、自分の道を定められずにいる感じ。覚悟を固めるきかっけとなる事件もあって少しずつ変わってもいきますが、体験版の範囲ではまだまだ煮え切らないです。共に往くにしても袂を分かつにしても、この先に期待といったところで。
一方で寂零は、神ゆえの価値観の違い……という以上に、「巻き込むこと」も含め覚悟ができている様子。また、自分達の行いが「善」ではないと承知しつつも、自分なりの「義」を貫く、格好いい大将っぷりを見せてくれます。帝都奪還後の演説などは圧巻です。まあ完全にアジテーターですが(笑)。
そのほか国津陣営に加わるのは、辰巳に付いていくため無茶をして「共犯者」になってしまう幼なじみの四々野咲耶さん、最初は敵として相対し、「義を見極め、過ちであれば斬る」ために加わる崇徳院エリザ、魔導を極めるという己の利益と一致するがために参謀につく老人シムハなど、色々な意味で極まっちゃってる人々ばかり。締めるところは締めますが(主に寂零が)、道中はややネタっぽいノリもアリの賑やかなやり取りが多く楽しめました。
あとはメアリさん。メアリさんはメイドにしてガトリング砲使いにしてホムンクルス(シムハ老の最高傑作)。しかも中二病持ちって盛りすぎな上に世界観的にもちょっとアレですが、メアリさんだからいいのだ!
敵方も筋が通ってて格好いい
寂零一行が相対するのは、天津神の末裔、上天君麾下の幹部の面々。それぞれ腹に一物あったりしつつも、護国という義をもって立ち塞がります。というか、上天君は裏で何やら画策してるっぽいものの、基本的には別に圧政を敷いているわけでもないので、普通に寂零一行が逆賊です、これ。
飄々としつつも胸の内は熱い神戸潤一郎と、河童の姐さんこと綿津見玄竜のコンビがとくにお気に入り。神戸は立ち位置的に、辰巳のライバルとなっていく感じかなあ。
そのほか、各地で出会う天津に下ったかつての国津神なども、この太平の世に敢えて争いを起こすことに義はあるのか?と問うてきます。でも寂零さんはブレません。(周りはちょっとブレます。)
地還乱世の真の力とは……。大正ものにして厨二全開ファンタジー?
そんな感じで、体験版は龍脈開放して力をつけ、いよいよ京都へ向かうぞ!ってあたりまで。和風ファンタジーとしても国盗りものとしてもなかなか面白いのですが、体験版のラスト付近で、地還乱世に関して気になる展開が……。好きなネタですけど、これまで盛り込んで収拾付くのか?と思いつつ、公式サイトの進行状況見たらシナリオは95%完成とあったのでほっとしました(笑)。これは完成が楽しみです!
あとBGMはオリジナルなのかな? 戦闘BGMが格好良くて好きです。
シミュレーションRPGとしての面白さは未知数
と、ここまでノベルパートの話ですが、シミュレーションRPGとしてはどうなのか?というと……正直、現状では何とも言えません。「デバッグ、バランス調整が不完全」とありますが、それ以前にステージ開始時、一部キャラクターの初期位置が壁の中で一切動けないとか、スキルの説明がダミーのため効果がわからないとか。一方で、デバッグ用と思われるバランスブレイカーな装備が1つあったので、辰巳君にこれを装備させて無双モードで済ませちゃいました。(不具合らしき部分は、これ書き終わったら報告する予定です。)
「剣・鏡・玉」の属性で三すくみがあるようですが、これも説明がないため具体的にはわからず、自分で解明しようと思うまでにも至らず。
そんな感じでちゃんとした評価はできませんが、ざっくりとした感想としてはこんな感じ。未調整なだけという面もあるかもしれませんが。
- クリックで移動、さらに通常攻撃ならそのままダブルクリックで攻撃できるのはサクサク進められていいですね。
- ステージの広さに対してキャラクターの移動力が低めで、ちゃんとプレイしようとすると若干だれるかも?(自分が普段あまりSRPGやらないから解らないけど、これくらいが普通なのかな? あるいはレベルアップで延びる?)
- 弓の「発射方向が4方向、射程5」(5マス以内、ではなく5マス先だけが射程)というのは流石に使いにくかったです。射程3~5とかだともう少し活躍できるかな……。
そして……エロゲです……
本作は、もともと2ちゃんねるの「エロエロなシミュレーションRPGを作ってやろうじゃん?」という企画が発祥だそうで。体験版の範囲では、幼なじみの着替えを偶然覗いちゃったり、温泉だー!みたいなちょっとしたお色気シーンが少々。思いっきりエロゲ的なシーンは、主人公達とは直接関係ないところで1つ、かな。辰巳君がそういう展開になるのはかなり先っぽい分、いわゆる「序盤のサービスシーン要員」としてあるキャラが犠牲になってしまいます。いろいろな意味で。
ゆくゆくは、ヒロインごとにシナリオ分岐して……みたいなパターンだと思いますが、ここまで読んできた限りでは、エロメインというよりはシナリオ重視。エロシーンも、きっと戦場という極限状態の中での恋愛の流れとして描かれるんじゃないかなと思います。……なんてスカしてみたけど実はめっちゃ楽しみだよ!メアリさーん!咲耶さーん!エリザー! あ、寂零はなんか怖そうだからいいです。あと一人忘れてる気がする。
敵方では、河童の姐さんのそういうシーンがあるかどうかが、気にならないと言えば嘘になるかもしれませんね。ええ、まあ。