先月からプレイしていたマルチエンドホラーノベルゲー「モミジは紅く其の身を染めて」が終わりました。って厳密には1個まだ見られてないエンドがあるんだけど、とりあえずトゥルーもみて一段落したので感想など。ネタバレは少なくとも致命的なのは避ける予定です。ちなみに(少なくとも今のところ)ダウンロード販売のみ、945円(税込み)の同人ゲーです。残念ながら非18禁。
過去にある罪を犯し、しかし今はそれなりに平凡に暮らしている主人公のもとに、過去の罪の残滓が迫ってくる……というのがおおまかな物語の導入であり、当然誰もが幸せになれる結末など望むべくもありません。まあホラーゲーだし。ホラーと言っても直接的に怖いというよりは、どうしようもない状況にどんどん追い込まれていく焦燥感、そして絶望感を味わうといった趣で御座いました。基本フォーマットはギャルゲ系なのでシナリオもほとんどはヒロインと対になる形です。
概要はそんなところで、あとは箇条書きで徒然なるままに。
ここがよかった
- シナリオによって全然違う話に分岐するというよりは、ある1つの事件で「ここでこうしていればこうなった」というifをシミュレートする感じ。その変化がそれなりに理にかなっているのと、当該シナリオで直接描かれていない事象も別シナリオから想像できるので、マルチエンドものとしての面白さを堪能できた。ノベルゲーのイベント日程表なんて作ったの久々です(笑)。
- ヒロインを始め周囲のキャラクターが魅力的。日常パートについて、テキストは個人的には可もなく不可もなくって感じでしたが、立ち絵が好みだし表情が豊富なので楽しめました。そして本領発揮はいざ事が起きてから。良くも悪くも、それぞれの行動理念からぶれないので、その結果がバッドエンドだとしても読んでいて気持ちいい。
- よくあると言えばあるけど、作中のキーワードの解説機能が面白い。しかもこのシステムはただの解説ではなく……おっとこれ以上は言えません。
ここがよかったの裏返し
- このような作りから共通ルートの比率が比較的高く、またルート分岐後も似たような展開が結構あり、体感的なボリュームはDLsite.comやエロゲー批評空間のレビューなどで言われているほどには多くは感じませんでした。別の意味でプレイ時間の長さは感じましたが、詳細は後述。
- 対して、主人公は……。まあ、優柔不断はこの手のゲームの主人公にはよくあることだし、そもそも清く正しい人間ならこの物語がそもそも始まらなかったので仕方ないですが。個人的にはそう気になりませんが、人によってはもどかしいかもしれません。
- キーワード確認するのにいったんゲーム終了してタイトル画面に戻らなきゃいけないという仕様はちょっと面倒でした。
ここが厳しい
- 即死エンドや意図しないシナリオへの突入などを繰り返しながら、条件を確かめて望むシナリオへと分岐していく……のが楽しみのゲームであるにも関わらず、既読スキップが致命的に遅い。文章が読めるレベルです。選択肢へ一気にジャンプとかもなし。どのシナリオに分岐したかだいたい掴めそうなところまで、既読全スキップで30分以上かかったりします。さらにそこで分岐失敗したことに気付いたりすると大変めげます。
- そのうえ、非アクティブ時は動作が停止するので、ウィンドウモードでスキップしながら他のことを……というのができません。どちらも多分使用ツール(LiveMaker)の仕様っぽいですが……。
- 一部フラグ管理がうまく行っていないらしく、行ったことがない場所へ行ったことになっていたり、ヒロインに話してないはずの過去話が話したことになっていたり。
- 誤字というか変換ミスが結構ある。個人的にはすぐ慣れて脳内補正かかるようになりましたが。
そんなわけで本記事のタイトルに繋がるわけですが
キャラクターは魅力的だし、数は少ないけどイベント絵も好みだし、トゥルー以外のシナリオはかなり救えないけどそのやるせなさがたまらないし、逆にそれだけにトゥルーのカタルシスは格別だしって感じで個人的にはとても面白かったのですが、やはり「ここが厳しい」で触れた点が引っかかって万人にはお勧めしにくいです。
- スキップが遅くてもめげない。スキップを走らせながら(この間事実上PCは占有)別のPCやPC以外のことをするなど、時間を効率的に使うことができる。
- 身に覚えのないイベントや情報が出てきても、「ああ、フラグ管理失敗したんだな」と状況を把握できる。
- 誤変換を脳内補完できる。
といったスキルを身につけた人なら、まずは体験版をプレイしてみてはいかがでしょうか。体験版の範囲で面白いと思ったらなら、多分最後まで楽しめると思います。そして私が12シナリオのうち唯一到達できなかった高坂GOODエンドに到達して条件を教えてください(苦笑)。……これがこの記事書いた理由の半分ですが。マイナー作品は攻略が充実していないのが辛い……。
(追記:到達できなかった1つのENDというのが高坂GOODエンドだというのは勘違いでした。エンドリスト上の位置的にそうだと思い込んでいました……。)
そのほか余談雑談など
- いきなり説得力ないですが、難易度自体はそれほど高くないと思います。即死系バッドエンド時はヒントが出ますし、あるタイミングで、各シナリオに分岐するためのヒントも出されます。……が高坂GOODだけはそれがない!
- 1周目、多分メインと言って差し支えないヒロインと仲良くしていたら到達したエンディングで、トゥルーエンドへのヒントをゲットできてしまいました。最初にこのエンディング迎える人多そうな気もしますが、意図的なのかどうかは微妙なところ。
- 背景が素材集なのはいいとして、全然違うシーンで同じ背景使い回しなのはちょっと……と言いつつ、個人的にはさほど気にしませんでしたが。
- 他のキャラはとくに声のイメージとか無いんだけど、何故か千影だけは戸松さんがイメージぴったりだなあと思ったりしました。だからどうというわけではないですが……。
- ヒロインはツンデレちびっ子ツインテールの柊もいいですけど、やっぱり高坂さんですねー。頭は切れるし意志も強い。主人公のヘタレっぷりが際立ちます(おい)。なので誰か頼むから高坂GOODエンドへのヒントを……!!
2年近く前の記事にコメントするのもどうかと思いましたが、
他に感想を書かれてる方が少ないので失礼させていただきます。
私は先日パッケージ版になったこの作品をプレイしましたが、
やはり高坂さんのGOODは存在しない様ですね。
思うにそれは彼女もお兄さんを間接的に死なせてしまった罪人だからだと思います。
公式サイトのストーリーのバックの絵はおそらくお兄さんと過去の高坂さんかと…。
ある種トゥルーが高坂さんGOODでもあると取れますが、
お互いがお互いを失った想い人の代わりとして見てる前提がある以上、
2人が幸せになれたのかも微妙なところだと感じてしまいます。
それはそうと、トゥルーエンド後に最初からスタートすることで見られる
パラレルワールドは読まれていたのでしょうか?
もしかしたらダウンロード版にはなかったのかもしれませんが…。
こんな古い記事にコメントありがとうございます。この記事を書いたあと、エンドリストで高坂GOODがあると予想していた場所にあるのは違うエンドだったと知りました。本作のテーマ的には、何の代償もなく高坂さんと幸せになれるエンドが無いのはそれはそれで納得ではありますね。トゥルーがある意味高坂GOODでもあるというのは同意です。
そして……パラレルワールド!それは知りませんでした。これはパッケージ版の追加要素かもしれません。パッケージ版の変更点に「某ルートの仕様変更」とあるのですが、具体的にどう変わったかはわからないため手を出せずにいました。こんなこともあろうかと、パッケージ版も購入済みではありますので、さっそくプレイして確かめてみようと思います。情報、ありがとうございました。